Adobe Encore ── この単語を聞いたことがある方は、おそらく Premiere Pro を 10 年以上使っている経験があると考えられます。Encore は、Adobe が 2003 年から 2013 年まで提供していた DVD・Blu-ray オーサリングソフトで、Premiere Pro と並んで Adobe Creative Suite に含まれていた中核製品の一つです。Premiere で編集 → Encore でディスク化、というのが当時のスタンダードな動線でした。Adobe は 2013 年末で Encore の販売を終了し、その後の Creative Cloud には DVD/Blu-ray オーサリング機能を持つ製品は含まれていません。Premiere Pro 単体には今も DVD 書き出し機能がないため、Encore に頼っていたユーザーは、別の選択肢を探す必要が生じました。この記事は、現在 Premiere Pro を使っている方が DVD を作るときに、どの選択肢が自分に合うのか ── を読者タイプ別に整理した乗換ガイドです。
実際に寄せられた相談 — Yahoo!知恵袋から
Premiere Pro から DVD 書き出しに困ったユーザーの実投稿を Yahoo!知恵袋から 2 件引用します。
「プレミアプロを使って作った動画を DVD-R へ焼く方法が分かりません。Premiere Pro から MPEG2-BluRay プリセットで書き出して 5 つのファイルが出来ました。Media Encoder でさらに 10 ファイル増えましたが、DVD に焼いても再生できません。友人の結婚式披露宴用です」
Premiere Pro 単体では DVD オーサリングは完結しません。本記事の「TYPE A 旧 Encore ユーザー」で TMPGEnc Authoring Works 等への移行を整理しています。
「Adobe Premiere Pro 2025 で DVD 作成時の書き出し設定について教えてください。16:9 の DVD-Video 形式で高画質な映像を式場に納品したいです。①高品質書き出し → オーサリング ②MPEG2-DVD で直接書き出し のどちらが正解でしょうか」
①の「高品質書き出し → 別ソフトでオーサリング」が高画質を保ちます。本記事ではプロ向けの推奨ワークフローを案内します。
4タイプの読者のうち、あなたはどれか
Premiere Pro で動画を作って DVD 化したい人は、その背景によって取るべきルートが変わります。次の 4 タイプに分かれます。自分に近いタイプに進んでください。
TYPE A 旧 Encore ユーザー ── 乗換先 3 候補
Encore は Adobe のサポートが終了した今も、Windows 10 までは騙し騙し動かせていました。Windows 11 では正常起動できない事例が増え、Mac は macOS Catalina 以降の 64bit 移行で完全に動かなくなりました。乗換先として現実的なのは次の 3 つです。
Encore で凝ったメニュー画面を作っていた人にとって、メニューなしの簡素な書き出しは寂しく感じるかもしれません。ただ、現代の DVD 受け手は再生機にディスクを入れて自動再生を期待することが多く、メニュー画面の存在価値は当時より下がっています。配布シーンを見直してから、メニュー機能の必要性を判断してください。
TYPE B Premiere Pro 新参 ── 最短ルート
Creative Cloud を契約し、Premiere Pro で 1 つ目の動画を作ったタイミングで、家族や友人から「DVD でちょうだい」と言われるパターンが、新参ユーザーの典型シナリオです。Premiere Pro 単体に DVD 書き出しがないことを知って戸惑う段階で、いきなり別ソフトを買う必要はありません。
この流れは新規ソフトの購入が不要で、合計コストはディスクメディア代だけで済みます。月に数回しか DVD を作らないなら、これで十分です。専用ソフトの購入は、メニュー画面やチャプターを多用したいケースに限ったほうがいいでしょう。
TYPE C プロ動画作家 ── 安定ワークフローの組み方
クライアントから「DVD でも納品」と頼まれるプロ作家にとって、毎案件の DVD 化が短時間で安定して終わるワークフローは、収益性に直結します。経験豊富なプロ作家は、書き出し → ディスク化までを 30 分以内で完結する仕組みを作っています。
TYPE D 教育機関の講師 ── 学生作品の運用設計
大学・専門学校の映像授業では、Premiere Pro が教材ソフトとして使われるケースが多くあります。学生の卒業制作・課題作品を DVD 化して保存する場合、毎年同じ動線を回せる「再現性」が重視されます。担当が変わっても引き継げる流れに整えるのが理想です。
全タイプ共通 書き出し設定の推奨
読者タイプに関わらず、Premiere Pro 側の書き出し設定は共通化できます。最終的に DVD-Video の 720×480 / MPEG-2 / AC-3 に変換される前提で、最適な値を選びます。
Premiere Pro特有の注意点
シーケンス設定とのミスマッチ
Premiere Pro のシーケンス設定がフレームレート 23.976fps や 24fps だった場合、29.97fps で書き出すとカクつきが発生することがあります。書き出す前に、シーケンス設定が NTSC 系か映画系かを確認してください。
カラーマネジメントの設定
HDR タイムラインで作業していると、SDR 出力時の色が浅くなります。Premiere の「Lumetri カラー」で Output Mapping を「SDR」に設定し直してから書き出すと、DVD 化後の見栄えが安定します。
音声トラックの統合
5.1ch サラウンドで仕上げたタイムラインをそのまま書き出すと、DVD-Video の AC-3 ステレオへの変換でチャンネルが崩れる場合があります。書き出し前に「ステレオに統合」しておくのが安全です。
シーン別利用パターン
結婚式のセミプロが Premiere で編集する
結婚式のプロフィールムービー・エンドロールを Premiere Pro で仕上げるセミプロは、納品形式に DVD を必ず含めます。式場提出は MP4、両家用は DVD-Video が標準的な納品セット。詳細は結婚式ムービーDVD化ガイドを参照してください。
企業の映像担当が Premiere で社内行事を編集する
創立記念、退職者記念ムービーなど、企業の映像担当が Premiere を使う場面では、配布枚数が 30 〜 100 枚規模になります。ISO 化して業者発注に進むのが現実的です。
学校の卒業ムービーを担任教員が編集する
担任教員が Premiere で卒業ムービーを編集するケースもあります。学校で Adobe ライセンスを保有していれば、教員が直接編集する流れが取れます。生徒数分の量産は業者発注で対応します。卒業DVDのガイドに運用の整理があります。
よくある質問
Q. Premiere Pro から直接 DVD に焼くプラグインはありますか
2026 年時点では、Premiere Pro 内で完結する公式の DVD 書き出しプラグインは提供されていません。サードパーティの簡易ツールが存在しますが、安定性が低く、業務利用には外部ツールとの組み合わせが現実的です。
Q. Adobe Encore の旧バージョンを今でも使える方法は
Windows 10 までは旧バージョンを動かす方法がありましたが、macOS Catalina (10.15) 以降の 64bit 必須環境では Encore は動きません。仮想マシンや古い PC を残しておかない限り、現実的には選択肢に入りません。
Q. Media Encoder で MP4 を書き出した後、Premiere は閉じても大丈夫ですか
Media Encoder は独立して動くため、Premiere を閉じても書き出しは継続します。書き出し中のキャッシュ容量が大きい場合、Premiere を閉じておくとシステムの動作が軽くなります。
Q. メニュー画面付き DVD はもう作れないのですか
有料の DVD Architect、Cisdem DVD Burner、Wondershare DVD Creator などで作成できます。ただし、現在の DVD 受け手の多くは自動再生を期待しており、メニュー画面の有無は受け取り側の満足度にあまり影響しないケースが増えています。
シナリオ別の次のアクション
本記事を踏まえて、状況別に次に読みたい関連ガイドをまとめました。今のあなたの状況に該当するブロックから先へ進んでください。
DaVinci Resolve から DVD 化 ── Premiere の代替検討にも。
iMovie から DVD 化 ── Mac ユーザー向け軽量編集。
DVD 作成ソフト比較 ── 乗換候補の検討に。
結婚式ムービー DVD ── セミプロ案件の動線。
卒業 DVD ── 学校行事の量産動線。
MP4 を DVD に焼く ── 書き出し後の症状診断。
Encore が無くても、MP4 を渡せば DVD-Video 形式の ISO が完成します。プロワークフローにそのまま組み込めます。
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